特定ケースの中途採用に使える労働移動支援助成金(中途採用拡大コース)について
2019年1月10日 カテゴリー: コラム
美容業助成金サポートならお任せ!ベネフィット社会保険労務士法人の櫻井です。
前回、前々回のコラムにて特定の雇用を行った際に助成金を受けることができる制度「労働移動支援助成金(早期雇入れ支援コース)」について述べました。
今回は労働移動支援助成金の1コースである「労働移動支援助成金(中途採用拡大コース)」について解説をしていきます。
参考:知ってて損なし!とある場合の雇用に役立つ労働移動支援助成金(早期雇入れ支援コース)について
1.労働移動支援助成金(中途採用拡大コース)の概要
同制度は中途採用者の雇用管理制度を整備し中途採用の拡大を図った場合に助成金を受けることができる制度です。
ここでいう中途採用の拡大とは
- 中途採用率を向上させる
- 45歳以上の労働者を初めて中途採用として雇用する
といったいずれかを実施することです。
また、本コースは早期雇入れ支援コースと同じで、前述した
- 中途採用拡大を行った場合に助成金を受給できる「中途採用拡大助成」
- 中途採用拡大を行った後、生産性が向上した場合に追加で助成を受けることができる「生産性向上助成」
の2つに区分されます。
それぞれのケースで助成金を受給できる要件も異なります。
この記事では、「中途採用拡大助成」について解説を行います。
2.受給対象となる労働者
要件については前述した通り中途採用の拡大を以下のいずれかで行うかで異なります。
(1)中途採用率を向上させる(以降、中途採用拡大)
(2)45歳以上の労働者を初めて中途採用として雇用する(以降、45歳以上初採用)
まず、支給の対象となる労働者については(1)の場合以下の事項に全て該当する方となります。
- 助成金申請を行う事業主から中途採用によって雇用された労働者
- 雇用保険の一般被保険者又は高年齢被保険者として雇用
- 期間の定めのない労働者(パートタイム労働者を除く)として雇用
(2)の場合は(1)の要件に加えて
- 雇入れ時の年齢が 45 歳以上であること
が追加となります。
3.受給対象となる事業主
事業主についてもそれぞれのケースについて要件が異なります。
(1)中途採用拡大の場合
- 雇用保険適用事業所の事業主
- 支給のための審査に協力
- 対象となる労働者に賃金を支払期日までに支払っている
- 対象となる労働者の出勤簿・賃金台帳等の審査に必要な書類を保管
- 対象労働者の雇入れ日の前日から起算してその日以前の1年間で当該事業主の事業所において就労したことのある者の雇用ではないこと
- 雇用者との関係において、資本的・経済的・組織的関連性がないこと
- 中途採用計画の提出の日の前日から起算して6か月前の日から支給申請書の提出日までの間に、事業所において雇用する雇用保険被保険者を事業主都合で解雇等をしていない
- 中途採用計画期間の初日の前日から過去3年間における中途採用率が50%未満
- 過去に本コースの助成を受けていない
等々があります。
(2)45歳以上初採用の場合
中途採用拡大の要件a~gに加えて
- 中途採用計画期間の初日の前日以前に、申請事業所において 45歳以上の者を期間の定めのない労働者(パートタイム労働者を除く。)として雇用したことがない
という要件が追加となります。
4.支給対象となる措置
受給を受けるためには中途採用計画を作成し労働局に提出する必要があり、中途採用計画には中途採用者の雇用管理制度を整備する内容を記載します。
ここで定義する雇用管理制度とは、募集・採用を除く、労働時間・休日、雇用契約期間、評価・処遇制度、福利厚生などを指し、新規学卒者等に適用されるものと同じであることが求められます
また、中途採用計画および実行については以下の各条件が求められます
(1)中途採用拡大の場合
- 中途採用計画が1年間であること
- 計画期間中に支給対象となる労働者を2人以上雇用する
- 計画期間中の中途採用率を、計画開始日の前日から過去3年間の中途採用率より20ポイント以上向上させること
- 計画期間内の中途採用者が雇入れ日から起算して6か月を経過する日までに20%以上離職していないこと
※目標達成が困難の場合に計画期間は2年または3年に延長可能
(2) 45 歳以上初採用の場合
- 中途採用計画が、1年以下で事業主が定める期間であること
- 計画期間中に支給対象となる労働者を1人以上雇用する
5.支給金額について
1事業所あたり下記の金額が支給されます。
- 中途採用率の向上 … 50万円
- 45歳以上の初採用 … 60万円
1事業所につき1回しか申請はできません。
また、
中途採用率の向上と 45 歳以上初採用の両方とも計画届を提出することは可能ですが、
計画期間が重複する場合は、どちらか一方の助成のみ受給することになります。
加えて、申請には中途採用計画提出日の前日から起算して3年前の日において雇用保険適用事業所であることが条件のため、
起業したばかりでは申請はできません。
参考:厚生労働省HP労働移動支援助成金(中途採用拡大コース)について
参考:厚生労働省HP労働移動支援助成金中途採用拡大コースガイドブック
如何でしたでしょうか。
事業が成長過程にあって、多くの人材確保、特に45歳以上のベテラン層が求められる場合であれば、労働移動支援助成金の中途採用拡大コースの対象となる可能性は高いと言えます。
労働移動支援助成金(早期雇入れ支援コース)同様、覚えていて損はない助成金です。
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