働き方改革と使える助成金情報
2019年5月30日 カテゴリー: コラム
美容業助成金サポートならお任せ!ベネフィット社会保険労務士法人の櫻井です。
今回は過去の記事でもとりあげた「働き改革」についてもう少し詳しく解説いたします。
活用できる助成金も一緒にご紹介しますので、是非ご参考ください。
1.働き方改革とは
働き方改革とは、一言でいえば日本国内における各企業の労働環境を大幅に見直す取り組みのことです。
厚労省HPではその目的について下記のように述べられています。
❝我が国は、「少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少」「育児や介護との両立など、働く方のニーズの多様化」などの状況に直面しています。
こうした中、投資やイノベーションによる生産性向上とともに、就業機会の拡大や意欲・能力を存分に発揮できる環境を作ることが重要な課題になっています。
「働き方改革」は、この課題の解決のため、働く方の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現し、働く方一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすることを目指しています。❞
日本の人口は2008年をピークに減少に転じており、上記の「少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少」状態にあります。
人口が減れば、労働力不足となり、国内の生産力・競争力は衰退をたどることになります。
この労働力不足を解消させる為、働き手を増やし、出生率を上昇させ、労働生産性を向上させる必要があります。
これを実施し、改善する政策が「働き方改革」というわけです。
2.働き方改革3つの重要課題
前述した働き手を増やし、出生率を上昇させ、労働生産性を向上させるためにも以下の3つの課題のクリアが求められます。
(1)労働時間の長時間化是正
長時間労働は、健康な体の維持や、仕事と家庭生活の両立を困難にします。
家庭生活の両立が困難になることで、少子化に繋がる原因になります。
長時間労働を是正すれば、ワークライフ・バランスが確保され、女性や高齢者も仕事に就きやすくなり、労働参加率が向上します。
2019年4月以降の労働関連法案の改正では
一部職種を除き、時間外労働の上限が月45時間年360時間とされ、上限を超えた場合は、罰則として、雇用主に半年以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられるようになりました。
※中小企業は2020年4月1日から施行
また、10日以上の有給休暇が付与される労働者に対し、毎年、時季を指定して5日の有給休暇を取得させることも義務となります。
長時間労働の制限に加えて有休もとらせることによりワークライフ・バランス維持をしやすくします。
(2)正規・非正規の不合理格差の解消
正規社員と非正規社員の処遇の差については、非正規労働者のモチベーションを下げ生産性の低下を招きます。
よって、この課題に対処するために
- 同一労働同一賃金の実効性を確保する法制度とガイドラインの整備
- 非正規雇用労働者の正社員化などキャリアアップの推進
が推進されています。
同一労働同一賃金とは、雇用形態がどのようであっても、同一の貢献(労働)をした場合は同じ給与・賃金が支給しなければなくてはならないという制度です。
施行日は大企業が2020年4月1日、中小企業が2021年4月1日予定。
(3)柔軟な働き方の実現
親の介護、子育てが大変な方にとっては毎日職場に行くのも大変なので、「テレワーク」等で時間や空間にとらわれることなく働くことができる環境が必要です。
日本においては、テレワークの利用者や副業・兼業を認めている企業は未だ少なく、その普及を図っていくことも重要な課題です。
3.活用できる助成金
(1)時間外労働等改善助成金
時間外労働等改善助成金は、人数が少なく労働時間に対する意識が薄くなりがちな中小規模の企業向けに実施される助成制度です。
具体的には、所定労働時間を減らす方法や有給休暇の取得促進、残業時間の上限を定める方法、在宅勤務を可能とするテレワーク制度の導入など、職場全体の慢性的な労働に対しての意識改善対策を行った企業に一定額の費用負担を行います。
同制度は以下5つのコースに分かれています。
- 時間外労働上限設定コース
- 勤務間インターバル導入コース
- 職場意識改善コース
- 団体推進コース
- テレワークコース
参考:働き方改革対応!時間外労働等改善助成金(職場意識改善コース)について
参考:働き方改革対応!時間外労働等改善助成金 (時間外労働上限設定コース)について
参考:働き方改革対応!時間外労働等改善助成金 (勤務間インターバル導入コース)について
参考:働き方改革対応!時間外労働等改善助成金 (団体推進コース)について
参考:働き方改革対応!時間外労働等改善助成金 (テレワークコース)について
(2)人材確保等支援助成金(働き方改革支援コース)
人材確保等支援助成金とは、人事評価の制度整備や、生産性向上のための設備導入を行う等、職場環境の改善に向けた取組を実施する事業主を助成する制度です。
その名の通り職場を改善して人材の確保を行うことで助成金を受給できます。
働き方改革支援コースは平成31年度4月より新設されたコースで人材確保が必要な中小企業が、労働者を新しく雇い入れ、一定の雇用管理改善を実施した際に助成金を受給することができます。
受給するためには、先ほど紹介した時間外労働等改善助成金(時間外労働上限設定コース、勤務間インターバル導入コース、職場意識改善コース)の支給を受けていることが条件です。
参考:新コース追加!平成31年度の人材確保等支援助成金について
4.まとめ
2019年4月以降、働き方改革の改正法の適用開始が始まり、各企業は法改正に対応した労務管理の準備を進めています
「働き方改革」は労働人口の減少、少子高齢化、社会保障費の膨張など、深刻な社会問題を解決するための一手段ではありますが、同時に、企業の生産性を向上させる手段でもあります。
自社の将来的な戦略のためにも、法律の最低限度をクリアするということだけではなく、働く人にとって、一層働きやすい職場環境の構築を実施し、企業の労働力および競争力をあげましょう。
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