2019年の最低賃金改定と助成金活用について
2019年10月10日 カテゴリー: コラム
美容業助成金サポートならお任せ!ベネフィット社会保険労務士法人の櫻井です。
最低賃金は企業が雇用者に支払わなければならない最低額の賃金のことで、毎年見直しが行われています。
今年も10月1日に全国で最低賃金の改定が行われ賃金額の引き上げが行われました。
1.全国で約3%のアップ
全国平均の最低賃金は2016年には823円でしたが、2018年度には874円、2019年は901円となっています。
特にここ数年は、年約3%の大幅な引き上げが続いている状態です。
この背景として、平成27年11月24日の経済財政諮問会議において、「最低賃金を平成28年以降、毎年3%程度ずつ引き上げて、全国加重平均1,000円となることを目指す」旨が表明されているからです。
これは賃金アップによって消費の活性化を行い、デフレからの脱却、最終的には名目国内総生産(GDP)600兆円を達成することが目的です。
今回の改定により、全国賃金額の平均は900円台となりましたが、目標の1,000円にはまだ遠いため今後も最低賃金の引き上げは続いていくと言えるでしょう。
2.東京都では最低賃金1,013円に引き上げ
昨年2018年度の改定で985円だった東京都の最低賃金も、今年度の改定において遂に1,000円の大台を突破し最高額の1,013円となりました。
1,000円を突破したのは、他に神奈川県があります。(こちらは1,011円。)
尚、東北や中四国、九州の一部地方の最低賃金は790円と東京都と比較して200円以上の差がある状態です。
3.賃金引き上げの対策
最低賃金ギリギリで賃金を設定している企業は、今回の最低賃金引き上げ額をクリアするように従業員の賃金改定を行う必要があります。
最低賃金額は必ず守らなければならないもので、使用者と従業員の合意があっても下回ることは違法となります。
賃金を上げるとなると企業側が負担する人件費は当然上がるので、企業は事業継続のために様々な対策を講じる必要があります。
(1)設備投資の抑制
人件費が膨らんだ分の支出を抑えるため、設備投資を抑制します。逆に設備投資を行って生産性をアップさせ利益を増やすいう方法もあります。
(2)残業時間の削減
正社員の残業時間を削減して残業代を抑えます。日本国内のサラリーマン年収のおよそ4分の1が残業代というデータもあり、残業代の削減によって人件費が大幅に抑えられる可能性もあります。
(3)助成金制度を活用する
賃金改定を行った場合や、設備改善を行った場合に助成金がもらえる制度があるので、それを利用する方法もあります。従業員の賃金改定や設備投資に活用できる助成金制度には以下のものがあります。
非正規雇用者に対して新たに社会保険を適用し、基本給を改定した企業に助成金が支給されます。増額の割合によって、支給金額も変わります。
②人材確保等支援助成金(設備改善等支援コース)
生産性改善のための設備を導入し、賃金アップの実施で助成金が支給されます。
4.業務改善助成金は内容が拡充
もう一つ最低賃金の改定に活用できる助成金があります。このコラムでも過去に紹介した「業務改善助成金」です。
同助成金は生産性アップを目的とした設備投資(新規機械設備の導入の他、POSシステムや顧客管理システム等の導入等)に加えて、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げた場合に、賃金引き上げを行った従業員数に応じて助成金が支給されます。
今年度は内容が拡充され、支給金額も上がっております。
詳しい内容については次回のコラムで解説いたします。
5.まとめ
最低賃金の改定は中小企業にとっては簡単な問題ではありません。
従業員の最低賃金が上がると、当然企業が負担する人件費は増大します。特に最低賃金ギリギリのラインで非正規労働者を多く雇用している企業は人件費の増加に耐えきれなくなる可能性もあります。
会社を存続させるためにも、前述した助成金制度の活用や、各自治体の賃金引上げ支援制度を利用することは大切です。
次年度以降も最低賃金の引き上げは続いていくものと思われるので、自社にあった取り組みを実行して、会社にとっても従業員にとっても最良な賃金アップを実施しましょう。
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