会社都合退職者を出すと助成金の受給ができない?
2019年11月14日 カテゴリー: コラム
美容業助成金サポートならお任せ!ベネフィット社会保険労務士法人の櫻井です。
厚生労働省が実施している雇用環境の改善や生産性向上を目的として支給される助成金について、「6ヶ月以内」に自社で会社都合退職者を出した場合は受け取ることができません。
なぜ会社都合退職者がいると助成金を受給できなくなるのか、会社都合退職に当たるものはどのようなものなのか解説していきます。
1.会社都合退職と助成金の関係
助成金とは、労働者の生活の安定や健康維持・労働時間の短縮といった労働環境の改善、それによる生産性の向上を目的として、国がこれらの取り組みに必要な費用の一部(もしくは全額)を助成してくれるものです。
それにも関わらず、会社の事情によって退職や解雇を行うことは、助成金のあり方に反しているといえます。
事実、雇用関係の助成金の中で従業員を雇い入れる際に申請可能な助成金においては「該当する従業員を雇い入れる日の前日から起算して6ヶ月前の日から1年を経過する日までの間に、事業主都合の解雇をしていない」というニュアンスの支給要件があります。
以下に例を記載しておきます。
特定求職者雇用開発助成金…「対象労働者の雇入れ日の前後6ヶ月間に事業主の都合による従業員の解雇(勧奨退職を含む)をしていないこと」
2.会社都合退職とは何か
そもそも会社都合退職とはどのようなことを指すのか解説します。
(1)概要
従業員が会社を辞めるケースは以下の5つに分けられます。
- 合意に基づく解約
- 辞職
- 定年による退職
- 契約期間の満了
- 解雇
基本的に会社都合退職は上記の「解雇」にあたり、会社側の事情により従業員との雇用契約を継続できなくなった際にその解除を申し出ることを言います。また、ここでいう会社側の事情というのは以下のものとなります。
- 経営難による人員整理
- 経営破綻(倒産や破産)
- 退職勧奨(会社から自己都合退職を促す)
- 給与もしくは残業代未払いの状態
さらに、以下のような場合では、たとえ労働者本人から退職の自己申告があっても会社都合の退職となります。
- 職場内でいじめやハラスメントを受けた故の退職
- 過度な残業(月45時間以上)を強いられた故の退職
- 会社の3分の1を超える人間が離職している場合
- 給与や待遇、労働時間、業務内容などの労働条件が契約した内容と異なっていた場合
- 自身の給与を減額された場合
- 会社が法令違反を犯している場合
(2)懲戒解雇は含まない
解雇には「懲戒解雇」というものがあります。これは社内の秩序を著しく乱した労働者に対して行うもので、会社からのペナルティの中では最も重い処分です。
懲戒解雇は労働者側に問題があるため基本的に会社都合には該当しません。
3.不正受給は違法
会社都合退職者を出してしまった場合は助成金の申請期間をずらすなり、労働基準法に準拠する形で労務環境を整理してから助成金を申請するといった対応を取るようにしましょう。
会社都合退職を避けるために従業員に無理やり自己都合退職を強要して処理した場合や、事実を偽って支給申請をすることも不正受給となります。
助成金の不正受給が発覚した場合は、5年間助成金の受給ができなくなる他、違約金を支払うことにもなります。今年の4月よりペナルティも重くなっていますので絶対に行わないでください。
4.まとめ
労働環境の改善に取り組むことのできない会社は基本的に助成金を受け取ることができません。
助成金は経営者が儲けるためのものではなく、労働者の生活の安定や労働環境の改善のために存在するものです。労働環境が改善されれば労働者のモチベーションアップになり、生産性は向上します。そうなれば、結果的に会社の成長アップに繋がるわけです。
会社が苦しいので今すぐお金が欲しいから利用するものではなく、将来的な事業を見据えてのものであることに十分留意しましょう。
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