助成金申請前に要確認【残業代の未払いについて】
2019年12月26日 カテゴリー: コラム
美容業助成金サポートならお任せ!ベネフィット社会保険労務士法人の櫻井です。
助成金を受給するには、労働関連の法令をきちんと守っている必要があります。
職場環境や労働者の雇用待遇の改善を目的とする助成金の活用には当然の事項ですが、これらが守れていないために受給できない企業が少なくありません。
中でも時間外労働に対する割増賃金いわゆる残業代の未払いのケースがとても多いのです。
1.残業代の未払いは労働基準法違反
残業代の未払いとは、定められた時間を超えて働いているにもかかわらずその分の賃金が支払われていないことを指します。
労働基準法では、「1週間40時間、1日8時間を超える労働をさせてはならない」と定められています。
ただし例外規定があり、特定の業種で常時9人以下の労働者を使用する事業所については週44時間まで働かせることが認められているため、美容室ではこの特例を利用しているケースが多いです。
2.残業代は割増となる
残業による割増賃金は
深夜労働の場合…通常の賃金の25%以上
となります。
例えば時給1,500円で10時〜19時の定時で働いている方がいたとします。
とある日に深夜1時まで仕事をしたとすると、残業時間は6時間となります。
この時の残業代は通常賃金に1.25を掛けた1,875円です。また、深夜労働は22時〜翌6時となっているため、22時〜1時までの3時間は深夜割増を加えた2,250円で計算します。
(通常賃金1,500円×1.25)×3時間+{通常賃金1,500円×(1+0.25+0.25)}×3時間
=5,625+6,750
=12,375円
3.その他注意すべき事項
(1)休日労働に対しても残業代を払うこと
深夜労働になる場合はさらに25%以上の割増賃金(通常賃金の60%増し)
を支払う必要があります。
労働法では、原則4週間に4日は休日を取得させるように定められています。
しかし、例外規定があり、1年間の平均で1週40時間以下となれば、週6日勤務であっても休日の割増賃金を支払う必要がなくなります。
そのため、美容業界等、サービス関連の職種ではこの特例を利用しているケースが多いです。
(2)休憩時間中の労働
人が少ない職場だと、休憩時間に交代で電話番や接客をすることがありますが、それらも労働基準法に違反する可能性があります。
休憩時間とは労働者が自由に利用できるものです。電話番や接客が強制されている場合は自由ではないと解釈されます。
4.まとめ
労働基準法は企業が守るべきものです。違反している場合は助成金の申請不可だけでなく、懲役刑や多額の罰金等重いペナルティを課せられることもあります。
一方で、労働基準法が作られた頃にはサービス業がほとんどなかったため、現在では、今の時代に合わせた例外や特例が多く存在しています。
美容室等、サービス関連の業種では、例外や特例を利用しているケースが非常に多く、この例外や特例を正しく利用するためには、プロに相談した方が確実です。
助成金の申請をお考えの方は、ベネフィット社会保険労務士法人までお問合せください。
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